1年の間にはそれぞれに「〇〇の日」というのがあるものです。10月1日はコーヒーの日、4日はイワシの日、10月8日はそばの日など。1日に1つだけではなく、幾つかの「〇〇の日」に指定されている日もあります。では、10月10日はどうでしょう?これまで10月10日といえば「体育の日」というイメージしかなかったのですが、体育の日が10日だったのは今は昔。現在の体育の日は、2000年(平成12年)より行われた「ハッピーマンデー制度」の適用により、10月の第2月曜日と決められています。また、東京オリンピックの開催される来年は、特例措置でオリンピックの開会式の日の7月24日が体育の日になるとか。
そんな10月10日ですが、実は「マグロの日」でもあるのです。お寿司の王様「マグロ」。スーパーの鮮魚売り場や飲食店などでは、この日が近づいてくると、活気付くのでぜひ注目してみてくださいね。そもそもなぜマグロなの?なぜ10月10日なの?日にちの由来やマグロの効能を調べてみました。
マグロの日の由来は奈良時代から
10月10日とマグロの関係を知るには、今から1300年ほど前の奈良時代まで遡ります。奈良時代に活躍した「山部赤人(やまべのあかひと)」という歌人がいました。数々の歌を残し、歴史でも勉強したことがあるのではないでしょうか。万葉集に収められた中で有名なものに
「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける」
という句があります。
西暦726年の10月10日に、奈良の大仏を建立したことで有名な聖武天皇(しょうむてんのう)のお共をして、山部赤人が印南野(現在の兵庫県明石市)を訪れました。その際、まぐろ漁で繁栄しているこの地の様子を歌った句が残されています。長い句なので一部を取り出してみます。
「高知らせる 印南野(いなみの)の 邑美(おふみ)の原の荒たへの 藤井の浦に
鮪(しび)釣ると 海人舟騒き 塩焼くと 人ぞ多(さは)にある」訳:(聖武天皇が)宮殿をお造りになる印南野の邑美の原の藤井浦(今の兵庫県明石市)には、多くのマグロをとる漁船が行き交っており、塩焼き(海水から塩を作る仕事)をするたくさんの人々が浜に出ている。
出典:日本かつお・まぐろ漁業協同組合
氷なども手に入りにくく、運搬手段も発達していなかった奈良時代ですから、鮮度のよいマグロを生で食べられるのは産地だけの特別なことだったのでしょう。山部赤人も、訪れた明石の漁港で美味しいマグロに舌鼓を打ったのかもしれませんね。
まぐろは当時は「鮪」と書いて「しび」と呼ばれていました。「万葉集」には他にも「しび」という言葉を使って歌われた句がいくつか見られます。マグロが日本人にとって、昔から身近な魚だったことがわかります。
この句が後世に伝わり、1986年に日本かつお・まぐろ漁業協同組合が『マグロをもっと食べてもらい、マグロへの理解を深めて欲しい』という願いを込めて10月10日を「マグロの日」と制定したそうです。
マグロの旬はいつ頃?
マグロはサバ科マグロ属の大型回遊魚です。マグロは世界中の海に生息しており、旬の時季は漁獲される場所によって、身質も色目もさまざまです。マグロの消費量の約30パーセントは日本が占めているほど日本人の大好きな魚なのですが、マグロのブームが世界各地で起き、天然マグロの乱獲が続いたので、近年では漁獲量が急速に減少しているそうです。
現在は冷凍技術の進化によって、季節を問わず美味しいマグロがいただけますが、日本近海で漁獲されるものについては、一般的に本マグロは冬、メバチマグロは秋、キハダマグロは春~夏が旬で、この時期に食べるとさらに脂が乗っていて美味しいと言われています。
10月10日のマグロの日の頃に旬を迎えるのはメバチマグロです。10月から12月に日本近海で獲れるメバチマグロは、マグロ特有の味でコクがあると言われています。中でも脂ののった中トロは最高だとか!ぜひ食べてみたいですね。
マグロの栄養価
栄養価の高さもマグロの人気の秘密です。
●DHA(ドコサヘキサエン酸)
青魚に多く含まれていると言われるオメガ3と呼ばれる不飽和脂肪酸。情報伝達をスムーズにして脳細胞を活性化する働きがあり、マグロのDHA含有量は魚の中でもトップクラス。
●EPA (エイコサペンタエン酸)
同じくオメガ3脂肪酸の一種で、血管・血液の健康維持に効果が期待できる。「血液サラサラ」「中性脂肪値を下げる」「血管年齢を若く保つ」などの働きがある。
●タンパク質
3大栄養素の1つであるタンパク質は、筋肉、皮膚、髪、爪など体を作るほとんどの部分に存在していて、大切な役割を果たす。マグロには良質なタンパク質が含まれている上、100gあたりのタンパク質含有量は牛肉や鶏肉よりも多い。
その他にも鉄分、カリウムなどミネラル分を多く含み、肝臓の働きを助けるアミノ酸、コレステロールを調節するリノール酸、リノレイン酸なども含まれています。
マグロの日にぜひ旬のマグロを!
日本人が大好きな魚の代表格のマグロは、栄養面でも優れた食材だったのですね。イワシやアジ、サンマなどの青魚と違い、切り身が赤いマグロが、血液サラサラ効果や、血管年齢を下げるという働きに優れているということは、これまであまり気づきませんでした。マグロにも体に良い働きがたくさんあることがわかったところで、来る10月10日のマグロの日には、ぜひ鮮魚売り場へ足を運ぼう!と決意も新たにしたのでした。みなさまもぜひ!
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