横浜中華街の4つの門。その意味と役割を知っていますか?

快晴の3月のある日。横浜中華街へ出かけてきました。ここは言わずと知れた観光の名所。私も子供の頃から何度も訪れたことのある場所です。当たり前すぎて今まで気にも留めなかったのに、本当に久しぶりに訪れてみると、目に止まったのは中華街で見かける豪華な門の数々。その1つ1つに込められた意味や役割を調べてみました。

中華街の東西南北に建つ「牌楼(パイロウ)」

赤や緑の豪華な装飾が施された門をくぐると、そこから先は街の雰囲気が一変し、中華街へと入って行きます。この門の正式名称は「牌楼」と呼ばれ、門の数は1基、2基と数えられます。牌楼は全部で10基あり、この牌楼の中でも東西南北に建てられている4基の門は、中国古来の風水思想でそれぞれの方角を表す色と神獣がモチーフになっており、街のシンボルと同時に守り神の役割も持っているそうです。

この写真の門は、中華街で最初にできた門「善隣門(ぜんりんもん)」です。現在見られる善隣門は2代目で、1989年の横浜開港130周年を記念した横浜博覧会にあわせて建て替えられました。初代の善隣門は終戦後の1955年に完成しています。当時の市長や県知事が、サンフランシスコのチャイナタウンを視察し、横浜中華街も同様に観光地として発展させられるのではないかと考え、街のシンボルとしての門を建設することとなったそうです。

中華街の門に掲げられた名前に注目!

どの門も、中華街の中へ入ろうとするときに見える文字は「中華街」そして門をくぐり抜けて中華街の中に入り、門を振り返るとその門の名前が書かれています。

外から中華街を見ている時は「中華街」と書かれたプレートが。

門をくぐって中華街の中に入ると、その門の名前が記されています。それでは4つの門を見ていきましょう。

東:朝の時間を守る青の門「朝暘門」

山下公園の方から歩いてくると見えるのはこちらの門。まだ中華街の店がオープンする前に立ち寄り、写真を撮ったのが、朝を守る門である「朝暘門(ちょうようもん)」です。古代中国で天の四方を司るとされていた神獣(吉兆として現れる霊妙な獣)である「四神(玄武、青龍、白虎、朱雀のこと)」の中で、朝陽門の守護神は青龍。鮮やかな青色の柱が特徴で、よく見ると「中華街」の文字の下に龍の彫り物がたくさん飾られています。この門は1日のうちでは朝の時間を守り、方角では東を、四季のうちでは春を守っています。

西:夕方の時間を守る白の門「延平門」

石川町駅北口から程なくすると見えてくるのが延平門(えんぺいもん)。両側を学校で挟まれており、近隣の人々の生活が垣間見られる門でもあります。柱は真っ白で、平和と平安のやすらぎが末長く続くことを願う意味があり、中国古来の神獣「白虎」をシンボルとしています。方角では西を、四季では秋を守っています。

南:昼の時間を守る赤(紅)の門「朱雀門」

元町方面から歩いてくると前田橋を渡ったところに見えるこの門は、朱雀門(すざくもん)です。南の方角を守護する神獣「朱雀」が守護神です。 朱雀とは、聖なる鳥のことを意味し、柱には翼を広げた鳳凰のような鳥の姿を見ることができます。1日のうちでは昼を、四季のうちでは夏を守っています。

北:夜の時間を守る黒の門「玄武門」

横浜スタジアムの方から入る時にくぐるのが玄武門。目の前が緑の公園で静かな雰囲気です。玄武とは古代中国の神獣の中の1つで、亀の甲羅に蛇が巻きついている姿なのだそうです。門の色が黒色なのが特色ですね。この門は方角では北を、1日のうちでは夜の時間、四季では冬を守っています。

中華街の守り神「媽祖廟」

4つの門がそれぞれ東西南北を守っていることがわかったところで、中華街の人々の心の拠り所である「媽祖廟(まそびょう)」にも立ち寄ってみました。

「媽祖」は航海の安全を守る海の神として有名ですが、それ以外にも自然災害や疫病などから人々を守る女神として、現在でも華僑の住む世界各地で信仰されているそうです。天上聖母・媽祖(まそ)は「天后」ともよばれていることから「天后宮(てんごうきゅう)」と書かれていますね。

色彩の美しい媽祖廟。中に入ると5本の線香を購入して参拝します。それぞれに商売繁盛、家内安全、身体健全、交通安全などを祈願することができます。華僑の人々がしているように、ひざまずき、線香を3回振ってお辞儀をします。

日本のお参り方法とは少し異なりますが、丁寧に案内してもらい、参拝方法を教えてもらえるのでゆっくり静かに願いを込めることができました。

媽祖廟の門を中から見たところ「恩澤四海」との字が見えます。これは4つの海だけでなく、世界中に媽祖様の恩恵が届くという意味を表しています。媽祖廟は航海の神様ということで、人々の人生の航海も守り見つめていることを表しているのでしょう。

新しい発見のあった中華街、まだまだ楽しめそうです

中華料理を楽しむために訪れていた中華街ですが、視点を変えてみるとさまざまなことに興味が湧いてきます。今回注目した門だけでなく、中華街の食材や、中華街で売られている食器類など、テーマを絞ってまた探検してみたいなと思いました。

歴史と伝統のある中華街。その発展を守っている四基の門を見て、横浜中華街がここまで観光の名所となった所以がわかった気がしました。

参照URL:横浜中華街、関内新聞

この記事をかいた人

新型コロナウイルスの影響で、マスクをする人がとても多くなっています。もちろんマスクは有効ですが、まずは手洗いとうがいの徹底が重要だと改めて感じています。あとは喉を潤わせておくことも忘れてはならないことの1つ。私はこの時期、いつも以上にお茶を飲んでいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です