若い女性を中心として大人気のタピオカ。タピオカ入り飲料を販売しているお店も次々と増え、街中では太めのストローを刺したボトルを、歩きながら持つ人の姿も多く見られます。タピオカを扱っているお店の前では連日長蛇の列ができ、新しいお店が開店となれば、大勢の人が開店前から並んでいる、一種の社会現象とまでなっていますね。
しかし、私はまだ体験していませんでした。炎天下の中長蛇の列に並ぶのは苦手。しかもタピオカとはどんなものかもよくわからない。でも、周りから「意外と美味しいよ。飲んでみて。」の声を多数聞き、ブームも一段落した先日、比較的空いていて入りやすい店を選んで行ってみました。
そもそもタピオカとはどんなものを呼ぶの?
タピオカと言っても、タピオカを単体で食べるわけではありません。一般的にタピオカと呼ばれるものは、「タピオカティー」または「パールミルクティー」などのミルクティーに大粒のタピオカを入れた台湾発祥の飲料のことを表します。
タピオカ(またはタピオカパール)と呼ばれる粒々を、太めのストローで吸い込む感覚と、グミのような粒々の食感が楽しめるのが特徴です。ミルクティー以外にタピオカを入れる飲み物は「タピオカドリンク」と呼ばれています。
日本で継続中の第3次タピオカブームは「インスタ映え」から
日本では、1990年代後半頃に台湾のチェーン店が進出してきた事により、タピオカティーの知名度が一気に広がるようになります。2000年ごろからコンビニエンスストアにも販売が広がり、その頃からタピオカパールが吸い込みやすいように、太いストローが付けられたと言われています。2010年代の初めには世界のタピオカミルクティーの店が日本に進出してきました。
2018年から2019年にかけて再度タピオカが流行り始め、これは第3次タピオカブームと言われています。現在のブームの原因は
①タピオカを入れた容器や、販売する店内に工夫が増え、写真がインスタ映えする事
②アジアの中でも台湾スイーツの人気が高まっていること
③甘い紅茶だけでなく、緑茶、烏龍茶、ほうじ茶などにタピオカを入れバリエーションが増えたこと
のようです。今では、フルーツジュースやスムージなど、お茶以外の飲み物を使った「タピオカドリンク」の種類も増え、タピオカを楽しめるお店も急増しているというわけです。
タピオカの原料は何?
あのツブツブである「タピオカ」。その原材料は南米産の「キャッサバ」というイモの一種で、食物としての分類上は「ジャガイモ」や「サツマイモ」と同じになります。キャッサバは、サバナ気候や熱帯雨林気候の地域など、気候や土壌の条件が厳しくても比較的簡単に栽培できるといわれています。
このキャッサバの根には「シアン化合物」という有毒成分が含まれており、食用にするためには毒抜きの処理が不可欠です。そのためキャッサバを生の状態で日本に輸入することは禁止されており、日本で手に入る海外品のキャッサバはすでに毒抜き済みです。
キャッサバの根茎から取ったでんぷんを水で溶いて加熱し、それを丸めた粒状にして乾かすと「タピオカパール」と呼ばれるものになります。このタピオカパールを2時間ほど茹でて戻すと、いわゆる私たちの知っているモチモチの食感の「タピオカ」となるのです。
現在人気の色は黒色?白色のタピオカとの違いは?
タピオカの名前の由来は、ブラジルの先住民のトゥピ語で、でんぷんの製造方法を「tipi’óka」と呼ぶことから、この名前が付けられたのだとか。
タピオカはキャッサバの根茎から製造するでんぷんなので、本来のタピオカは白色です。これを水で溶いて加熱し、粒状に加工することで「タピオカパール」と呼ばれる無色のものになります。
現在人気の黒色のタピオカは「ブラックタピオカ」とも呼ばれています。原料は、白色のタピオカにカラメルや黒糖で色や味を付けたものです。特に黒糖で味付けしたものは、ミルクティーとの相性が良いので、現在ではこちらが主流になっているようですね。他にも色付けしたカラータピオカもあるようです。
ブラックタピオカがここまで流行した要因には、若い人たちの感性の変化やインスタをはじめとする、見せるSNSの広まりもあるのでしょう。
栄養価やカロリーは?
タピオカの原料はイモなので、タピオカそのものは「でんぷん質」であり、主成分は炭水化物ということになります。でんぷん質なので炭水化物は多く含んでいますが、その他の栄養素はほとんど含まれていないようです。カリウムや食物繊維は微量に含まれてはいますが、同量の白米と比べると、タンパク質もほとんど含んでいません。
ゆでたタピオカは100gがおよそ62Kcalとなります。白米100グラムが約168kcalなので、タピオカ自体のカロリーを気にする必要はそれほどありません。あくまでもデザートとして、楽しむ分には良いでしょう。ただし糖分の入ったミルクティーなどと一緒に飲みすぎると、あっという間にカロリーオーバーになってしまうので気をつけましょう。
注文してみました
街中に本当にたくさんのタピオカの店を見ることができますが、長蛇の列に並ぶことなく、すぐに食べられるようにと朝一で一本裏通りのお店に出かけてきました。雨だったので人出も少なめです。
現在ではさまざまなお店からタピオカが発売されていますが、どうせなら発祥の地台湾のお店を選ぼうと思いました。こちら「Gong-cha(ゴンチャ)」は烏龍茶や台湾茶のブランド産地のひとつ、阿里山(ありさん)で栽培された茶葉を始め、茶葉の種類が選べることがポイントです。
お茶は「ジャスミン グリーンティー」「ウーロンティー」「阿里山 ウーロンティー」「ブラックティー」の4種類から選び、甘さ、氷の量も4段階から選ぶことができます。また、トッピングはパール(タピオカ)、ミルクフォーム、アロエ、ナタデココ、バジルシード、グラスジェリーの6種類から最大3つまで選べるそうです。私はお店のオススメ「阿里山ウーロンミルクティー」にタピオカをトッピングしてもらいました。
太いストローから、ミルクティーと一緒に小さな白玉のような食感のタピオカが口の中に吸い込まれてきます。ミルクティーも甘すぎず美味しかったです。そしてさすが炭水化物!タピオカミルクティーを飲み終わった後しばらくは、満腹感が続きました。
見た目も可愛いし、お店側もインスタ映えを狙って店内のディスプレイにも力が入っています。店内で飲むのもよし、軽くて持ち歩きしやすい容器なので、街で歩きながら飲む人も多数。それを見た人がまたお店に行く。そうした流れがブームを作っているのでしょう。
思ったよりもずっと美味しかったタピオカミルクティー。また飲みたくなりました。
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