【クロワッサン 特別編集:親を看取る】マガジンハウス 介護のことを考える日が来るなんて考えもしなかった頃、2015年発行の雑誌です(現在は最新版が発行されており、こちらは大型書店やネットでしか購入できないかもしれません)。親に介護が必要になった時のこと、その流れが細かく記載されています。 介護施設の種類や在宅医療、介護認定についてもわかりやすく、まさに介護初心者の母と私は、全てのページに付箋をつけて読み込んだ物でした。エンディングノート(遺言)の書き方なども載っており、母もとても参考になったと話しています。 表紙のお二人は、吉沢久子さん97歳、谷川俊太郎さん84歳。共に仕事があり、日々充実されていて、元気な様子が楽しく明るく誌面から伝わってきます。 【看る力:阿川佐和子著】文春新書 阿川佐和子さんのエッセイは楽しくて大好きなのですが、ご両親の介護をされた阿川さんと、精神科で高齢者医療と介護に携わった医師、大塚宣夫氏との対談となっています。 今まさに介護をしている人たちが心得ておかねばならない点がたくさんありました。思わず笑ってしまったり、「なるほど!」と深く頷いたりし、「そうそう!」と深く共感したり。あっという間に読める、おもしろくてためになる対談でした。 「(介護は)いつ終わるかわからないのに全力でがんばったら 自分がひっくり返るだけ。手を抜きなさい」 「ともかくできるだけ多くの人を巻きこんで、 休み休み、やりなさい」 など、介護者にとっては心に染みる言葉もあり、母にも勧めましたが、気に入って何度も繰り返し読んでいたそうです。 【認知症の人の心の中はどうなっているのか:佐藤真一著】光文社新書 父が認知症と診断され、物忘れ、徘徊、道に迷うなどの症状が多発していた頃に読んだ本です。一般的な「認知症患者との付き合い方」の本は、認知症を介護する人に対して書かれている本なのに対して、この本は医学というよりも心理学的な視点から、淡々と認知症患者の心の中とコミュニケーションの方法を教えてくれます。 あまりに赤裸々に綴られる認知症の内容に、読み進むのがつらい個所もありましたが、なるほどそういう風にものが見えていて、感情の動きがあるのかと、認知症を理解するということではとても役立ちました。 ●相手の怒りや悲しみは読み取れないが、嫌悪や喜びは敏感に察知する ●当人のアイデンティティを尊重することがいちばん ●認知症になって記憶が失われても、心が失われない などコミュニケーションのヒントとして納得できる部分がたくさんありました。 【老乱 : 久坂部羊著】朝日新聞出版 認知症についての解説書ではなく、物語として認知症の人とその家族の日々が書かれています。著者は、在宅医療を知る医師でもあるため、その描写はリアルで、認知症を知りたいと思っている人ならば夢中で読み進めること間違いなしです。 認知症になった本人の心の動きが細かく描写され、実際に道に迷って困る話などは、ちょうど同じような悩みを持っていた父の症状と全く同じで、胸につまされるものがありました。 一方、介護をする家族の心の変化も丁寧に書かれており、母は今でも折に触れこの小説を繰り返し読んでは、自分の気持ちと照らし合わせているそうです。 要所要所に実際に認知症の患者に関する新聞記事なども挿入されており、介護者のための認知症の本だけでなく、認知症本人とその家族にスポットを当てた小説となっています。
介護初心者はまず情報収集。そのためにも本は役立ちます
ネットに親しみのない親世代でも、本ならばいつでも手元に置いて読み進めていくことができます。介護、特に認知症患者と24時間過ごしていると、初期の頃はともかく、5年経った現在はいっときも目が離せません。 トイレや食事の介助、退屈しないように気分良く過ごせるように気を配るなど、工夫も必要です。介護者はそんな日々の繰り返しで疲れ果て、どうしても視野が狭くなることもありますが、本を読むことで「辛いのは自分達だけではないのだ」「こういうヒントがあるのか」「認知症の人はこんな風に思っているのか」など頭の中をリセットしてくれたり、共感したり、一呼吸おくこともできます。 介護はほとんどの人にとって初めての経験です。そんな時こそ、先に経験した人の本を読み、知識を増やすことが必要なのだと今実感しています。 ]]>
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