3月は卒業式、4月は入学式とこれからの季節は学校の行事などで写真を撮ることが増える季節です。これまでも何度か一眼レフカメラの使い方についてコラムを書いてきた私ですが、一眼レフカメラ初心者としてスタートし、ずいぶんカメラの操作にも慣れてきたところです・・・と書こうと思っていたのですが。
実はスマホの便利さに慣れすっかり一眼レフカメラから遠ざかる生活をしていたところ、先日取材で訪れた場所で、自分で撮影もしなけらばならなくなりました。「それならば!」と張り切って撮った写真が、ほとんどがピンボケという大ショックな出来事に。
撮りたいときにカメラをきちんと使いこなせなければ、子どもの成長の証である式典などの写真を記録に残せなくなってしまう。そんな焦りにも似た気持ちで、もう一度カメラのおさらいをしてみることにしたのです。
スマホのカメラと一眼レフカメラの違いは?
以前は、一眼レフカメラとスマホのカメラで撮った写真の大きな違いは「背景をぼかせるかどうか」がポイントになっていました。ところが、最近のスマホのカメラの進化は目覚ましく、以前のように「スマホでは背景がボケる写真は撮れないから」というのは無くなってきたのです。今ではスマホでも簡単にボケのある写真が撮れるようになっていますね。
太宰府天満宮での写真。手前にある絵馬が浮き立つような写真になっています。これはスマホで撮影したもの。iPhoneの「ポートレート機能」を使い、簡単に背景の「ぼかし」を演出することができます。こうした近くのものを撮影するには、スマホはとても便利と言えます。
ただし一眼レフにはできてもスマホでは苦手なこと。それが遠いところにあるものを撮りたいとき。望遠レンズなどの機能の無いスマホのカメラでは、どうしても綺麗に撮ることができません。
卒業式や入学式など式典の行われる場所では、大勢の中から子どもの姿を探し、遠くから撮ることが多くなります。このため、スマホでは限界があり、思い出として大切に保存したい写真の場合、やはり一眼レフカメラがあった方が便利ということになります。
初心者が一眼レフカメラで覚えるべき3つのこと
カメラにはボタン操作がたくさんあって、どれを使いこなしていいのやら。と悩んでしまいますね。初心者は、以下に記した3つのポイントを頭に入れて撮影するようにしましょう。ダイアルはA(Av)モード(絞り優先モード)にします。これは絞り=ボケ具合が決められるモードで、初心者には使いやすいものとなっています
①ボケ具合が変えられる
写真に奥行きが出るのは、背景をぼかして撮りたいものが浮かび上がってくるように見えるため。一眼レフカメラを手にすれば、勝手にボケのある写真が撮れると思われがちですが、設定をしないとボケのある写真は撮れません。カメラをA(Av)モードに設定し、次にボケ具合を調整するF値の数字を動かしてみます。Fの数字(F値)はボケ具合の調整をするので、F値が小さいほどボケが大きくなり、F値が大きいほど奥までピントが合うようになっています。
②明るさが変えられる
スマホではボタンを押すと全ての設定が完了するのに対して、一眼レフカメラでは自分で明るさを決めることができます。カメラに入って来る光の量のことを「露出」と呼びます。露出補正と呼ばれる機能は、明るさの調整のことを意味し、0から+(プラス)に行くほど明るくなり、0から−(マイナス)に行くほど暗くなります。
③色を変えられる
光の状況によってカメラの認識出来る色は異なります。そのため、実際に写真に撮ってみたら見た目と違っていたということも。そんな時はAWB(またはWB)と呼ばれるホワイトバランスで色の調整をします。目で見た色より赤っぽくしたい場合は暖色系を、青っぽくしたい場合は寒色系にします。
ホワイトバランスのボタンを選択すると、太陽光、日陰、曇り、白熱電球や蛍光灯などという選択肢が出てくるので、見た目の色に近づけることができるのです。
スマホで撮った写真
一眼レフカメラで撮った写真
一眼レフの方が得意なことの1つに、ふんわりときれいな印象で撮影することができるということがあります。スマホで撮った写真は、ぼかしは入っているものの、全体が見えている印象になっています。これに対して一眼レフカメラの写真は、背景がボケてメインの被写体が際立っています。設定次第で焦点を当てたいものだけを目立たせ、背景はしっかりとボケ感を出せること。これが一眼とスマホの大きな違いと言えるでしょう。
記録に残すならスマホ、記憶に残すなら一眼レフカメラ
初心者から見たら必ずしも「一眼レフカメラの方がスマホよりも絶対綺麗な写真が撮れる」ということは当てはまらないかもしれません。設定したり、使いこなしたりということができないと、一眼レフカメラでは残念な写真になってしまうこともあるからです。特に写真にこだわりが無いならば、スマホの写真でも十分でしょう。でも、設定して見たままの色に近づけられる、一眼レフカメラならではの写真を撮る楽しさがあります。3つのことがらを覚えておくだけで、写真撮影が劇的に面白くなることもわかりました。
卒業式や入学式など、その時しか見られない大切な瞬間で、長く記憶として残しておきたい写真は、一眼レフカメラで撮ることでさらに愛おしさも増すのではないでしょうか。記録をする場合はスマホカメラ、記憶に残すのであれば一眼レフカメラを使いこなしてみることをおすすめします。
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