「たなばたさま」
童謡・唱歌
作詞:権藤はなよ
補作詞:林柳波
作曲:下総皖一
ささの葉さらさら のきばにゆれる
お星さまきらきら きんぎんすなご
ごしきのたんざく わたしがかいた
おほしさまきらきら そらからみてる
7月7日は七夕です。昔から親しまれてきたこの「たなばたさま」の歌詞を暗唱できる方も多いのではないでしょうか。
でもこの歌詞の意味って完全に理解していますか?ロマンティックな神話で有名な七夕ですが、その由来や七夕の飾りつけについて、実際に知っているかと聞かれるとほとんどがうろ覚えですよね。
今回は七夕についてのおさらいと、近年はインスタでも話題の七夕の日の料理「素麺(そうめん)」を使った料理をご紹介します。
七夕の由来には「仕事を怠るな」という意味が
七夕のお祭りは、3月の桃の節句や5月の端午の節句と同じ五節句のひとつです。願い事を書いた短冊を笹に吊るしたり、夜空に星空を見上げるなど、子どもの頃から慣れ親しんできた行事ですね。
七夕はかつては旧暦で行われた行事です。梅雨が明けた夏の夜に、天の川を眺めながら初夏に採れた収穫物を備えて、星を愛でいました。年に1度織姫(おりひめ)と彦星(ひこぼし)が出会える伝説は、もともと中国の民話だったのです。
織姫は絹を織り、彦星は牛を飼いますが、それらは古代中国の大切な産業でした。出会った2人は仕事を怠り、おしゃべりに夢中になってしまったのです。これが天帝の怒りを買い、2人は天の川を隔てて離れ離れに。年に1度だけしか会えなくなってしまいました。
織姫と彦星の伝説には「仕事をおろそかにしてはいけない」という戒めの意味が込められているそうです。現在では恋人たちのロマンチックな側面ばかりが目立っていますが、本来はこのような意味もあったのですね。
七夕の短冊のならわし
七夕がまだ宮中の儀式だった頃は、短冊を飾る習慣はありませんでした。代わりに五色の糸が飾られていました。江戸時代になる頃に願い事を書いた短冊を笹に吊るしたり、飾ったりと庶民が楽しむ行事へと変化し広がっていったようです。
笹や竹はまっすぐに天に向かって生えるため、昔から神聖なもので、天の神様が地上に降りる目印ともなっているそうです。昔は7月6日の夜に願い事を書いた短冊を飾り、7日に川や海に流していましたが、現在は川へ流す代わりに願い事を書いて吊るすようになりました。
ちなみに「たなばたさま」の唄の歌詞にある「五色の短冊私が書いた」という「ごしき(五色)」とは、糸を飾っていた頃の名残です。緑、赤、黄色、白、黒(または紫)の五色で、厄除けの意味があります。
緑=木(徳を積む・人間力を高める)
赤=火(感謝の気持ちを持つ)
黄=土(信頼の心、知人・友人を大切にする)
白=金(義務や決まりを守る)
黒(紫)=水(学業の向上に励む)
それが転じて色とりどりの色紙に願い事を書くという風習に変わっていったのですね。
七夕の飾りつけの意味は
笹の葉に飾る七夕の飾りには独特の形が幾つかあります。
・くずかご(倹約と清潔、整理整頓の心を養うもの)
・吹流し(織姫の織糸を表した飾りで、裁縫の上達を願うもの)
・提灯(心を明るく照らすという願いを込めたもの)
・投網(網飾り)(大漁を願ったり、幸せをからめ取れますように)
・輪飾り(幸せが途切れなく続きますように)
ひとつひとつの意味を知って飾るとさらに楽しめそうですね。
七夕の食事はそうめん
七夕にそうめんを食べる慣習は、古代中国の食べ物で小麦や米粉を練って縄状にした「索餅(さくべい)」というものが由来で、そうめんの元祖と言われています。
それが次第にそうめんへと変わっていったそうです。はた織りを仕事にしていた織姫にちなんで、糸のようなそうめんを食べるようになったという説もあります。
言われてみないと意外と知らない古くからのならわしに基づいた食事は、近年ではSNSで拡散されるようになって多くの人に広まっていきました。
七夕なので星型をたくさん作ってそうめんの上に散らしてみると、星のお祭りらしくなりますね。そうめんと一緒に薬味もたっぷり使ってみませんか?
ミョウガや大葉、ネギなどの薬味には、その香りが食欲を促進させる効果があります。また、夏の暑い時期に起こりやすい、食中毒を予防したり、殺菌効果もあるので使わない手はありませんね。
夏はフルーツも美味しい季節です。年間を通して手に入るようになったキウイやグレープフルーツ、今が旬のアメリカンチェリーなども加えると食卓が華やかで賑やかになりますよ。
星に願いを込めて今年の七夕を楽しみましょう
7月7日の七夕の夜。夏場なので日が完全に落ちることを考えると、20時~22時頃に空を見上げてみましょう。
東の空の方角に見える「夏の大三角形」の中のベガ(こと座)が織姫、アルタイル(わし座)が彦星です。その間にある無数の星の集まりが天の川です。
都会ではなかなか鮮明に見ることは難しいかもしれませんが、由来を知ると季節の行事がより身近に感じられそうですね。
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