暑い日が多くなってくると、そうめんやざるそば、冷やし中華、冷奴など冷たい食べ物が登場する回するが増えますね。
そこに必ず添えられているのが薬味である香味野菜。子供の頃はこの薬味が苦手だったのに、気づいたら薬味なしでは物足りなく思うくらいに大好きになっていました。
薬味が添えられているのには理由があるのです。そして夏にこそ積極的に摂っておきたい薬味をご紹介します!
薬味とは
料理に少量加えることで、その野菜の持つ香りが食欲を増進する働きをしたり、料理に彩りを添えたり、味を引き締めたりするもののことを言います。
日本料理で代表的なものは葱、生姜、紫蘇、山椒、大根など。
中華料理ではクコの実、松の実、八角など。
東南アジアの料理では、ミント、コリアンダー(パクチー)、ドクダミなど。
西洋料理ではバジル、ルッコラ、ホースラディッシュなど。
それぞれの料理にあった薬味が世界各国で使われているのですね。
「薬味」という言葉は、医学用語として古くから使われていた言葉でした。中国最古の薬の書物である「神農本草経(しんのうほんそうきょう)」によると、食べ物には五つの味(甘い、辛い、酸っぱい、苦い、塩辛い)に分類されることができ、人間の一人一人の体調に合わせてこれらの味を調整して食品を食べることが大切だとされてきました。
そのためこれら五つの味のするものを「薬味」と呼ぶようになったそうです。食べる時に体調や好みで味を調整したり加減することのできる薬味は、実は人間にとって薬のような役目もしてくれていたんですね。
どんな効能
日本の料理ではそばについてくるネギとわさび、天ぷらについてくる大根おろし、刺身を食べる時に添えてある大葉や大根、わさび。これらには実はとても素晴らしい効用があります。
特に暑くなるこれからの季節は薬味の力を借りない手はありませんよ。
・ネギ
ビタミンCとビタミンAが豊富に含まれており、血行を良くして疲労回復効があります。
・ワサビ
脳細胞の活性化、脳血栓予防、抗がん作用、血流改善効果があるなど、ワサビの辛味成分には効能が多いのですが、さらに抗菌作用もあるため、食中毒などの心配な季節には積極的に摂りたい薬味の一つです。
・大葉(シソ)
ビタミンA(カロテン)の多さは野菜の中でもトップクラスであり、抗菌作用や防腐作用があることと、その香りが神経を鎮める働きもしてくれるそうです。
・生姜、ミョウガ
生姜は根の部分を食すのに対して、ミョウガは花のつぼみの部分を食べています。
どちらにも「カリウム」が含まれており、体の水分バランスを整え、むくみ予防などに効果的です。どちらも血流促進効果があるので、夏場に冷房などで冷やされた体を血流を良くして温める上で欠かせない薬味です。
・山椒
少量であっても、山椒の辛味は胃や内臓の粘膜を強化したり、整腸作用、血流を良くする効果から、疲労回復まで様々に活躍してくれることがわかります。
鰻には必ず山椒がついてくるのも、香りが食欲を増進させるからなのですね。
・大根
すりおろすことによって独特の辛味が出てくるので、薬味としてはおろし大根が使われます。免疫力を高めたり消化促進、殺菌効果もあります。
辛味を強くしたい場合は先端を、辛味を弱くしたい時は葉に近い部分を使うと良いと言われています。
番外編
・パクチー
個人的に大好きで、最近話題も多いパクチーも立派な薬味の一つですね。
パクチーの効用も調べてみました。パクチーは別名コリアンダー、香菜などとも呼ばれるアジアの料理には欠かせない野菜です。
その独特な香りから好き嫌いが大きく分かれることになるのですが、薬味と考えれば香りが強いのも、味が独特なのも理解できる気がします。
パクチーにはビタミン類が豊富に含まれており、ほうれん草やかぼちゃと同じくらいのカロチンも持っている野菜です。ま
たパクチーはデトックス効果や活性酸素が増えるのを防ぐ抗酸化作用もあるのでアンチエイジング効果も期待できるそうです。
薬味料理あれこれ
◆海鮮丼
刺身とたくさんの薬味が食欲をそそります。
シソと刺身は相性が良く、防腐作用や抗菌作用、整腸作用なども期待できます。
夏は食中毒の心配などで、刺身や寿司など生ものを食べるのをためらうこともありますが、薬味を刺身より多く取るくらいであれば気にせず食べられそうです。
◆カツオのたたき
海鮮丼と薬味はあまり変わりませんが、ニンニクまたは生姜をたっぷり加えたポン酢のタレと一緒にいただくと、カツオの美味しさがさらに引き立ちそうですね。
◆パクチーを冷やし中華にトッピング
我が家の犬も思わず見つめてしまうくらいたっぷりのパクチー。エスニック料理に合うパクチーは、冷やし中華にもぴったりでした。食欲が増進されますよ。
◆五味薬味
貝割れ大根、シソ、ネギ、生姜、ミョウガ
多めに作っておけばタッパーに入れて数日保存も可能です。
だいたいの目安
- 生姜 1/2かけ
- 薬味ネギ ひと束
- ミョウガ 2個
- 大葉 5~6枚
- かいわれ 1パック
これらを味付けなしで混ぜるだけです。
薬味にかいわれ?と思われるかもしれませんね。かいわれには消化促進効果に加えて、良好な睡眠に導き免疫力を高める効果のあるメラトニンも多く含んでいるそうです。
これらの五味薬味は、そのまま食べると生姜の辛味がピリリと聞いて体が温まってきます。そこへ他の香味野菜の味がミックスされて、ご飯の上にそのまま乗せるだけでも食べごたえがあります。
今回は納豆ご飯に合わせてみました。普段ネギは納豆に入れることが多いですが、他の薬味の味と混ざってモリモリとご飯が進んでしまいました。冷奴にもぴったり合いそうです。
まとめ
いかがでしたか?昔から料理の横にそっと添えられている薬味には、しっかりと意味があって使われていたのですね。蕎麦にはネギ、天ぷらには大根など、その組み合わせにも納得できました。
暑さや湿気で食欲が落ちたり、胃腸が疲れがちになるこれからの季節。薬味の整腸作用や、食欲促進作用を上手に活用して食べることを楽しみましょう。
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